「なんとなく、松本さんが彼女を秘書にした気持ちはわかります。つららさんは、仕事が出来る人だ。チーフ業務だけをやらせておくのは勿体無い」


「えぇ、そうですね」


「つららさんは、綺麗な外見だけじゃない。考えて、実行力もある人で、優秀だ。そして、好き嫌いだけでは仕事をしない根っからの仕事人間だとも思う」


「えぇ」


「話してみると意外性があって面白いし、負けず嫌いで一生懸命で、・・・時々可愛い」


「・・・・・・えぇ」


「そんな彼女を好きになって、自分のそばに置きたくなった」



アイツは一度、ゆっくりと足を組み直す。
そして、爽やかに笑った。


「まさに適材適所な人事だと思っていますよ」




チッ、誘導尋問には引っかからないか。

俺は、心の中で舌打ちをした。

核心に触れる質問には、肯定も否定もしない。


ただ、つららさんに興味をしめしていて、可愛いと思っていることには返事をしやがった。



駄目だ、つかめねぇ。



「好きになるのは自由ですが、くだらない感情で彼女をにぶらせないで下さいね。アレは、必要な女ですから」






はぁ?

なに言ってんだコイツは?