「山下秘書は、松本さんに抱かれましたか?」




衝撃の言葉の後、美波ちゃんは笑った。

でもその顔は歪んでいて、泣いているようにも見える。


「だ、抱かれたって、まさかそんな事・・・、好きでもないのに・・・」


私は、しどろもどろに答える。

たしかにエロ臭いセクハラはあるかもだけど、そんなの、あの人の挨拶みたいなものなんだろうし本気でやっているわけじゃない。


彼にとっては、人間関係をスムーズに進めるためのコミュニケーションの一つでしかない。

本気にとってはいけないものなんだよ。




「私は、松本さんが好き。だから、喜んで抱かれたわ」



あぁ、美波ちゃんは恋をしているんだ。


・・・厄介な、あの悪魔に。


「松本さんを好きな女の子は一杯いるの。彼に近づくためにはこんな方法しかないから、皆、必死に気に入られようとしているの、ただ一人、貴方を除いては・・・」



それは、悪魔の交友リストに並ぶ女達のことを言ってるんだろう。



でも、その話の中で、なんで私が出てくるの?


「まだ気づかないんですか?貴方は、特別な存在なんですよ」



えっ!なんでっ?!