多分、正解だと思う。
私も彼女と仕事をしていたからわかるんだ。


「もしも、山下秘書が松本さんを好きになってしまったらどうするんですかぁ?かなり厄介な相手だと思いますけど」


「市田さんは鋭いな、実は今、それが一番、怖い」


女の武器で勝ちとった特別な地位だったら、私は同じ場所で戦うことが出来る。
あの人に女の人がいたって、戦うつもりでいた。

ベクトルの違う山下秘書は、あの人のぬくもりを知らないはずなのに・・・。

恋愛感情の他に、何か強い絆を感じとってしまうんだ。

山下秘書は努力家だし才能もある人だ、私には真似は出来ない。
それに、こんなにも彼女を大切にしてくれている人がそばにいるのに・・・。


だからかな、余計に彼女が憎い。

松本さんの横に並びながら、早見チーフに守られている。



山下秘書が、もっと嫌味な女だったらよかったのにな。


憧れと憎しみと、好きと嫌いと・・・、ごちゃごちゃな感情が、私の中に渦巻いている。



「私は応援していますからね、早見チーフには頑張って欲しいです」


「あ、あぁ」


私は、自分の為だけに、この人を応援した。

そんな自分は、嫌な女だなぁと思いながら。