この服、大人っぽくないかなぁ。

ちょっとでもいい、松本さんに釣り合う自分でいたいと思った。
胸元があいた、いつもなら着ない少し大胆な服を選ぶ。
背伸びする自分も嫌いじゃない。

だって、初めての連絡が来たんだ。



しばらくは、連絡が来るのを携帯を眺めては、毎日ため息ばかりだったのに。

そんな毎日に疲れてきた頃に、あの人からメールが届いたんだ。


『明日、迎えに行きますね』


短い文章だったけれど、本当に夢みたい。


「待たせてしまいましたね、さぁ、いきましょうか」


普段のスーツ姿とは印象が違う、私服姿の彼。


「全然待ってませんよ」


私はそう答えてから、そっと車に乗り込んだ。



彼は、私を楽しませてくれる。
凄くドキドキしたけれど、夜は、彼に身を任せることに不安はなかった。

好きだなんて言葉はなかったけれど、私から、私のことが好き?、なんてことは絶対聞けない。

身体は重ねたけれど、キスはしてくれなかった。


でも、今はそれでもいいの。
それでも、私は幸せなんだから。

甘い時間の後、


「また、連絡してくれますか?」


その言葉に、彼は、優しく微笑んでくれたんだから・・・。