「あ、あの・・・」


「使えない奴はひっこんでろよ」


金井さんにそんなふうに言われたら、足がすくんで何も言えない、何も出来ない。
悔しくて、情けなくて、じんわりと視界がぼやけてくる。


「泣けば許されると思っているのか。羨ましいな、女は」


追い討ちをかけられるように、嫌味を言われてしまった。


「ええ、はい、申し訳ございません。予定の方は至急転送させて頂きますので、はい、わかりました、では失礼します」


連絡を取り終えて電話を切った山下チーフを、視界で追った。


「チーフ・・・あの・・・」


どうしよう・・・、チーフには、何を言われるんだろう。

嫌だな、今、ここから消えてしまいたい。

目を閉じて、身構える。


「美波ちゃん、至急予定表を送って。これは貴方の仕事よ、最後まで責任を持ちなさい」


そして、私に笑いかける。


「ミスなんて誰でもあるんだから、大切なのはリカバリーなの。幸い相手方も待ってくれているそうだから、急いでやりましょ」



厳しいことを言われた。
でも、怒るんじゃなく笑いかけてくれた。


なぜか私の身体をガチガチにしていた力が、スッと抜けていく感じがしたんだ。