「扉を開けてくれた女の人、あの人も私と同じような被害にあっていますね。しかも、その男の元で働かされている」


「今頃は、山下さんも同じ運命をたどっていましたね」


ちょっと待て、私を助ける気はなかったんですかっ!

「けれど、最後の判断は俺も同じですよ。実際には、あの会社で働いている大勢の社員がいる。あの男を訴えて会社を潰すのは楽にできます。訴えるのは被害にあった人の自由ですが、俺たちが、横から下手な正義感をかざしても、結果は、職を失う人間を増やすだけですからね」


「それなら、相手の弱味を握って、会社を守る方がいい?」


「そうですね、汚れたものも飲み込んで、会社は大きくなるんですよ」


妙に納得する。

私はそこまではっきりとは言い切れないけれど、この人と同じ価値観を持っているような気がした。



「・・・どうして、私を助けたんですか?」


この悪魔なら、簡単に私を捨てることが出来る。

あのまま放置されても、おかしくはなかった。


「答えは、もう、出ているでしょう?」



???


すいません、その答えがよくわかりません。