♦ 「伽羅ちゃんは、和希君のことが好きだった…… 兄として、だけじゃなくーー」 茜は深く溜め息をつき、夜空に浮かぶ三日月を見上げた。 「……伽羅ちゃんが、そう茜姉に話した?」 青磁は三日月の描かれた煙草の箱から、 煙草を一本取り出し、口にくわえる。 「直接話してくれたわけじゃないけど、 苦しい時、寝てる時、 和希君の名を呼んでいたの」 茜は思い出す。 伽羅が苦しみ、和希の名を呼び続けていた 雪の季節をーー。