「ツラい、けど…
私、このままじゃ、カズ兄の事苦しくて思い出せない。
そんなのは、イヤだ」


言いながら、溢れる涙。

 
「楽しい想い出もツラくて、優しい言葉も苦しいなんて…、
そんなのはイヤ」



私は布団を飛び出し、青磁先生にしがみついて、泣いた。



「…わかった、そばにいるよ。
伽羅ちゃんが、ちゃんと、
一宮の事を思い出せるように…」


青磁先生は、優しくそう言って、私の頭を撫でてくれた。


私は、ちゃんとカズ兄を思い出したい。
 
カズ兄の事を想いたい。


 私は、



 私は…カズ兄の事が好きだった…

 ずっと…