♢ 知っている匂いがして、私は目を開けた。 青磁先生の煙草の匂い。 気付いて、縁側の方を見る。 そこには、桜を眺める青磁先生の姿。 見つけて、心が落ち着いた。 「起きた? 伽羅ちゃん」 私の視線に気付き、青磁先生が振り返る。 「……おかえりなさい。青磁先生」 「うん。ただいま」 優しい笑顔で、青磁先生が答えてくれた。