でも堂々と優さんの表情を確認する勇気も無くて、ちらちら横顔を盗み見る程度だった。
薄暗い中、一瞬の花火の光で照らされる優さんは無表情に見えた。
さっきと違って睨んでないのに纏う雰囲気は決して居心地のいいものではない。
そんな優さんに留美は 綺麗だねぇ、 ほんとみんなと見れてよかったぁー、 とか言いながら肩に頭を寄せる。
優さんはさっきまでの顔が嘘みたいにあぁ、そうだな。なんていつも通り答えてる。
だから、ちょっとだけ、さっきのは私の見間違いかも、って思った。
っていうか、そう思いたかった。
それ程優さんの、非の打ち所のない微笑みは美しくて。
だけどやっぱりあれは明らかに私に向けられたもの。 あの時確かに優さんは私を、真っ直ぐに睨んでた。
そんなことをうだうだ考えていたらあっという間に花火が終わってしまった。
帰り道、来た時と同じように留美達は楽しそうに話していて、優さんも話を振られるといつも通り答えてた。
だけど来るときと違って、私は帰り道一度も優さんと目があわなかった。