「…………咲弥さんゲームでもお金持ちですね」
友達でもなんでもないのに、変な見栄を張った私は苦笑いすることしか出来ない。


「んふ、ホテルいっぱい持ってるからね。
ほらほらサキちゃん、そこから先も僕のホテルいっぱいあるからゆっくりしてってよ」


あ、サイコロとって、なんて言ってる咲弥さんの手にはゲーム上の分厚い札束。

私の三倍はありそう。咲弥さんのこの収入は、ボートにところ狭しと建てられた赤い建物のおかげ。


私の駒がそのマスにとまる度、私の手元は寂しくなっていく。
やっぱり、実際の人生が成功してる人は強運の持ち主なのかも。


「あ、そういえば」
咲弥さんがそう呟いて立ち上がりチェストのところへ行き、何かを持って戻ってきた。

「はい、これ」

「?」

「この前サキちゃんが忘れてったもの、忘れるところだった」
そう言って私に見覚えのあるビニール袋を差し出す。


もちろんアレだった。今日散々ヒヤヒヤさせられたアレ、だった。

「あ、ありがとう、ございます」
もういいのに!とは言わないものの恥ずかしさから不貞腐れ気味の私に咲弥さんは気づかない。

それどころかどういたしまして、って咲弥さんは満足げ。
何でもなさそうにしてるけどこれってセクハラじゃないの!?