上機嫌な咲弥さんに連れてこられた場所は、有名なホテルだった。
ここに泊まってるみたい。
ここは西洋風な造りになっていて、入ってすぐの大きなエントランスはドーム状で、中央に大きなシャンデリア吊されてる。
天井には、天使とか、聖母マリアとか、裸婦みたいな、教科書に載ってるような絵が描かれてた。
ヨーロッパって感じがすごく素敵だと思った。
そんなことを考えていると咲弥さんがニコニコしながら戻ってきた。
手に何かのカードを持って。
咲弥さんに聞くと、鍵の代わりだって言ってた。
「ここだよ」
そう言って咲弥さんがカードをかざしたのは最上階のスイートルーム。
スイートルームってたしかあの、部屋2つ分、ぶち抜いて造ってあるっていうやつ、なんて考えながら中に入って、びっくりした。
私の想像していたのと違ったから。
なんかホテルっていうより高級な自宅、みたいな。
私の想像では、大きなベッドとかソファーとかが置かれている部屋だったから。
いや、綺麗さは想像以上だし、大きなベッドもソファーも置いてあるけど、何か違う。生活感がある。
だってその他に大きな食器棚やキッチンがある。
私はこんなところに来たことがないから、もしかしたこれが普通、なのかもしれない。