「もしかしたら僕、そんなこと言ったかもしれない」
あの時は初めましてだったし名前とかそんな大事な個人情報言うの気持ち悪いでしょ。ほら、僕内気だから…
なんて言うから絶句した。もはや内気とか関係ないし。
太郎さんって電波ちゃんなんじゃないの。
「じゃあ山田太郎さん改めまして、咲弥さんです。これからもよろしくね、サキちゃん」
「はい…こちらこそ、よろしくお願いします…?」
咲弥さんがニッコリ、そう言いながら握手を求めてくる。
手を握ったまま私をじー、と見つめ、形の良い薄い唇を開いた
「んー、サキちゃん。
せっかくのお祭りなのにそんなんじゃ気分が台無し。
なんか僕だけ張り切ってるかんじに見える」
そしてその口をちっちゃい子みたいににとがらせる。
咲弥さんって何歳なんだろ。24ぐらい…かな?
……もっと若いのかも?いや、27とかかも…。
どっちにしろ、今のを咲弥さんと同じ歳の他の人がやってたら正直見たくないなあ、って思う。
年齢を考えてほしい。
「だからサキちゃんも浴衣着よっか?」
この前遊んでくれたお礼だよ、と。
当然私はびっくりした。