さっきまで優さんを見ていたお姉さん達も、太郎さんと私を交互に見る。



隣にいる優さんはもちろん、
さっきまでじゃれあってた留美と信吾さん、
金魚について話してたらしいゆいとくんと爽馬さんの視線がとても痛い。



周りの人はともかく、太郎さんを知っている優さんはきっとこの人がそうだと気付いてないんだろうな。


太郎さんは、山田太郎という平凡な名前が本当に似合わない。


私は太郎さんに、遠慮気味に小さく手を振り返した。
すると太郎さんは隣の女の人に一言、二言なにか言ってこっちに歩いてきた。



「久しぶり、サキちゃん。
この前は付き合わせちゃってごめんね、ありがとう」

私が前で立ち止まってニコニコ笑う。
目の前の太郎さんは、甚平を着て片手に戦隊ものみたいなお面を持ってる。
甚平姿の太郎さんは、子供っぽいしゃべり方なのに長身細身だからか、大人っぽい。

この人も優さん達と同じで、もとが綺麗だから、何着ても似合って得だと思う。
甚平だからか、色気もあるし。
それに白がベースの太郎さんの甚平はなんだかとても質が良さそう。


大丈夫だった?と綺麗に小首をかしげながらも特に心配してなさそうな太郎さんに
はい。と周りが気になる私の返事は短かった。