「お前もほしい?リンゴあめ」



ゆいとくんを見ていた私に、横からそう言ってきたのは優さんだ。


優さんは、いつのまにか買ったらしい真っ赤な林檎飴を舐めながら、余裕のある笑みを浮かべて私を見てた。


本人は気付いているんだろうか。
わざとなんだろうか。
飴を舐める度にちらちらと舌が見え隠れする。


その姿は私の想像するおとぎ話の王子様と、あまりにアンバランスで、ひどく妖艶で。


「欲しいならやるけど」


意地悪そうに笑って、優さんはさっきまで舐めていた表面の赤い飴をカリッとかじった。