見上げて見た優さんの顔は、やっぱり王子様でとても綺麗で。
行きたくないです、皆さんでどうぞなんて言えなくなった。
そんなことを思っていると優さんの腕に留美が抱きついてきた。その腕に自分の腕を絡ませながら
「これ、優に買ってもらったんだよぉ。可愛いでしょ!!似合うー?」
優さん越しに身を乗り出して、私に笑いかける。
本当に幸せそうに笑う留美を見て胸が苦しくなる。キュウって音を立てて、心臓が萎縮するみたいに。
私は買ってもらってないから。
たぶん留美は私の気持ちなんて気付いてないんだろうなぁ。
“うれしい”でいっぱいいっぱいな留美の心は、そう、良かったねって言った私のことを考える余裕なんてないんだろう。
気付いてたとしても平気で言ってくるだろうけど。