今の状況で私はやっと状況を理解した。


昨日楓さんが言った、明日行くの?とは私も参加するらしい優さんからのメールのことで、それに楓さんは参加したくないらしい。
たぶん夏祭りに。

楓さんは人混み苦手そうだ。汗とか似合わないし。
そんな楓さんをなんとか連れて行こうとゆいとくんがしているわけで、私にもその説得を手伝ってほしいらしい。



私のTシャツに膝下ジーンズという残念な姿を見て楓さんは「浴衣着ないの?
どうせ行くことになったんでしょ」って興味なさそう。



「あ、そういえばさきさん浴衣着てないですね。
せっかくお祭り行くのにもったいないですよ」
ってゆいとくんは今気付いたらしい。
私は着るも何も浴衣を持ってない。そもそも、さっきどこかに出掛けるって聞いたばかりだ。

そんなことを知らないらしいゆいとくんは、楓さんの説得を続けてる。


一年に一回しかないんですよ、とか楽しいですよ、とか優さんも参加してほしいって言ってましたよ、とか。

身振り手振りで必死に楓さんに言うゆいとくんは本当に可愛い。隣で鬱陶しそうに聞いてる楓さんと兄弟みたい。


しぶとく連れて行こうとするゆいとくんにしびれを切らしたのか楓さんは、
そろそろいかないと優にまた怒られるんじゃない?
とゆいとくんを黙らせ、机の上に置いてあった分厚い本を読み始めてしまった。