次の日の夕方頃『これから出かける』と優さんからメールが届いた。


昨日楓さんが言ってたのはこれのことだったんだ。
なんか、いつも急だなぁ、って思ってるとバタン!と音をたててドアが開いて外からゆいとくんが入ってきた。

なぜかゆいとくんは白い子供用の甚平を着てた。え、何で甚平?
って思ったけどすごく似合ってはいた。


相変わらずふわふわ雪兎なゆいとくんは「こんばんは!
楓さんを説得するのさきさんも手伝って下さい」


と、状況を掴めない私を楓さんのところまで引っ張っていく。
意味もわからず連れてこられた私は、とりあえずドアを二・三回ノックした。

返事がなかったので、入るを戸惑っていると、ゆいとくんが「楓さーん、はいりますよー!」と躊躇することもなくドアを開けた。




「さっきから僕は行かないって言ってるでしょ」
窓際に腰掛けている浴衣姿の楓さんは心底鬱陶しそうな顔で言う。


黒に近い藍色の浴衣を着た楓さんはすごく綺麗で、なんていうか…艶っぽかった。
楓さんから目に見えない大量のフェロモンが出てるような気がして、私は直視できなかった。
ちなみに楓さんはすごく不機嫌だった。