体が痛くて目が覚めた。
腕を動かすと感じる、ひやりとした感覚に下を見れば灰色の固いコンクリートだった。

腕をひっくり返してみると、一部分が赤くなってた。体重がかかってたらしい。


ん?何で私こんなところで…


周りを見てみるとあまり物がない部屋。
なんだか閉塞的で独房みたいだけど、キレイで清潔感がある感じ。 


…え、どこ?
見覚えのない部屋に軽いパニック状態。
「あぁ、目が覚めたのか」
そんな時にいきなり声をかけられたもんだからよけい驚いた。
振りかえった先にはゾッとする程綺麗な男の人。

涼しげな目元に綺麗な二重の目。
すっと通った鼻筋。緩い孤を描く薄い唇。
一つ一つ完全なパーツと配置。
そして人を惹きつける強く優美なその雰囲気─

こんな綺麗な人、初めて見た。




うわぁ、王子様みたい。造りものみたいに整ってる王子様は、「気分は?」なんて聞いてくる。その言い方はどこか威圧的。

私はこの部屋もこの人も知らなくて、なんでこの状況になってるのか全く解らない。


「あ、あの…。
ここは何処…っていうか、なんで私はここにいるんですか?」

え?という顔を一瞬され、覚えてない?と聞き返された。

は?と思って昨日の事を思い出してみた、そういえば昨日家に黒服の男の人達が来た。両親のなかなか返済出来ない、借金を取り立てに。


あぁ、そっか。そうだった。
昨日目の前で起こったのはドラマみたいな出来事で、いきなりで意味わからなくて、


────妹が可愛いかったから連れてこられた。

なんで私まで―?。

連れてこられた事まで全部含めて、ドラマみたいでよくわからなかった。