その答えに満足そうな顔をする留美を見て、信吾さんは苛立ったらしい。
「もういいだろ。
忙しいんだから、用のないお前はでてけよ。
優も仕事の邪魔だってはっきり言っていいんだぞ!」
「信吾、別にいいよ。今日仕事少ないし」
眼鏡をかけた留美に真っ赤に頬を染めた、信吾
さん。この人は、本当に留美のことが好きなのがわかりやすい。
口は悪いけど、真っ直ぐな、自分に正直な人だと思う。
でも留美からすればそれは別に珍しいことじゃない。
─…‥私の初恋の人も好きなのは留美のほうだった。
『サキ、これ、留美ちゃんに渡してほしい。』
顔を真っ赤にして渡されたのはラブレターだった。二月の風がやけに身にしみた。辛くて苦しくて、でも頼まれたから、留美に渡した。すっごく虚しくて情けなくって、恥ずかしくってつらかった。
その手紙を留美はみもせずにゴミ箱にいれた。うっとうしい、らしい。
綺麗な形のままゴミ箱に入れられた手紙を見て、私ならそんなことしないのに、って。
でもあの子が好きだったのは留美の方。