「怒られない…、と思います……」
嘘ついた。怒られるに決まってる。ちょっとした好奇心と甘えを早くも後悔した。
「太郎さんは知り合いの方、大丈夫なんですか?」
「んー、僕の方は大丈夫だよ」
表情の暗い私とは対照的に太郎さんは微笑んでる。
その後もやっぱり二人でばばぬきをした。全く楽しく無かったけど。
気がつくとベッドが夕日に照らされて、ほのぐらいオレンジ色になってた。
面白くないわりにいつの間にか熱中してたせいで頭の隅へと追いやられてたあのおじさんの事思い出し、自分の状況を理解した私はすごく焦った。
「あの…。今…何時、ですか?」
「んー、6時まわったとこ?」
「え!6時!?」
「うん?」
「太郎さん、今日はありがとうございましたっ!私そろそろ帰ります」
「え。もう帰るの?」
「はい、ばばぬき、途中ですけど…!こんなたってるって思ってなくて…!!」
んー、わかった。って。
さっと鞄をまとめて帰り支度をした私は、その声を聞きながら慌てて部屋を出ようとした。
そしてドアノブに手が届く瞬間、ひとりでに回ってドアが開き、いきなり女の子が入ってきた。