暫く歩いていると見覚えのある場所に出て、やっと元の部屋にたどり着くことができた。
とりあえず戻ってきたものの、すごく暇。当然やることなんて何もない。
ボーっと周りを見ているとふいにガラスの机に置かれた白い紙に目がとまった。
“腹がすいたら食堂にきて勝手に食っとけ 信吾
コイツ口悪いけど許してやって 爽馬”
金髪が信吾で短髪黒髪が爽馬というらしい。
その紙の裏面に簡単な地図が書かれてたやることもないし、とりあえず食べることにした。
サシを使わないで、適当に書かれたその地図は、通路のラインが丸いカーブを帯びていてわかりにくい。子供の落書きみたいで全然わからない。
それでもなんだかんだ食堂につくと小さな男の子が“ゆいと”と書かれたオムライスを散らかしながら食べていた。私の視線に気づくと遠慮がちにこんにちはと挨拶してくれたので、こんにちは、と返した。
小柄で目が大きて、肌なんてふわふわモチモチのマシュマロみたいで雪うさぎっぽい男の子だった。
突っ立ってたら、可愛らしい笑顔でおずおずと、前どうぞ、とゆいとくんの前を指してくれたので私はそこで食べれることになった。
ありがたい。
お互い無言でオムライスを食べていると
「あー楓さんっ。楓さんも一緒にどうですか?」
なんていきなりゆいとくんが言うから、その方向を見ると、さっきの美人メガネの人がいた。