「此処は何処?」

滅多に自分から口を開かない蛍が問う。

ぼーとした目で周りをゆっくり見ながら。



その問いには誰も答えられなかった。

此処へ連れてきた私でさえも。

蓮は無言で眉を寄せる。

痺れを切らした椿が眼鏡を掛けなおしながら告げる。

「こころ、悪ふざけはやめてくれ。」

冷静に椿が冷たい目で私を見る。

「ふぜけてないっ!!分からないんだっ!!体が勝手に・・・。」

焦りを露わにしながらさっきまで感じていたモノが消えたことに気づく。

顔が青くなるのが分かる。

心配そうに志摩が私の背中に手を置いてさする。

口を開きかけるが、

「とりあえず、早く戻らないと先生等がうるさいかなー。」

和歌斗我遮る。

この状況が楽しいとでも言うように弾んでいる。

私はそっと志摩の手を握り返して「大丈夫。」と言うと周りにも手を翳してみた。

手を伸ばしても何もつかめないこの場所。



「なんだか・・・不思議な場所・・・。」

世喜亜の顔は困惑を浮かべていた。