「なに、ついに赤点の答案見つかった?」

いつもは勇のこと話す時はニコニコしてるのに、今は干からびたミミズのようだ。

弱々しく頷く樹理を見て、多少同情はしたが、赤点の答案を見つけてしまった勇にも同情した。


…全教科赤点なんて、失神しそうだったろうに。
数学に至っては名前すら書いてない正に白紙。(前回の答案には落書きがしてありました)


若いのに苦労している勇に密かにエールをおくっておいた。


「本っ当に怖くって!!パパよりも怖かった!!」


「あいつはほら、過保護だから」


「なんで私だけ!!」


「俺と千暁は赤点とらないもん」


「男が“もん”って言うなあぁああ!気持ち悪いっ」


「樹理。今、夜中の三時…」


「ようやく説教終わって、寝ようと思ったら、千暁は井戸から出てくるし、勇が答案用紙になって追っかけてくるし!もうやだあああぁあぁぁ!!」


「…そんなに追い詰められてたとは…」


「だから!」


「だから?」


「っ…察しろ!」


「お口が悪いよ樹理ちゃん」


「~っ!!たらしの涼だったら、分かってるんだろ!」


「だから、お口が「五月蝿い!!」


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