俺は釘を刺されてしまったし、勇はもしかしたら気付いてないかもしれない。
どんだけ鈍感なんだよ。

学年の違う千暁にまで噂は広まっていた。


内容は…。
まぁ、よくあるものだよね。

“樹理が体使って、三人を繋ぎ止めてる”だって。

俺、その噂聞いた夜、泣いちゃったからね?



大事な幼馴染みにこんな酷いことされて、もう黙ってられないな。樹理に“大丈夫”って言われたけど、知らない。

ちょっと彼女達には反省してもらおう、そう決心して次の日の昼放課に三年の教室に向かったわけですよ。一人で。


そしたら、千暁から『三年のところに来いやばい止めろ』とメールが。

いつも敬語なくせに。
相当焦っているのか改行もされていないメール。
胸騒ぎがして、歩くスピードを速めた。最後は必死に走っていた。



そして、三年の教室に着いた時、俺はビビったね。
今回の事態さえも気付いていなかったんじゃないかと思っていた人物が教室のまん中に立っていたのだから。

しかも、キレてた。
マジギレ、でした。
あの時、初めて勇がキレたのを見ました。


完全に目が据わってたし、オーラがハンパなく黒いし重かった。



“勇…?”


“涼兄!”

入口で立ち尽くしてる俺に気づいた千暁が慌てて近寄ってきた。


“これは一体どーゆー…?”


“あの人、樹理が嫌がらせされていたの気付いてたんですよ!”

は い ?


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