「勇~!千暁がぶったぁ!」

樹理が勇に勢いよく抱きついた。
それに少々よろけながらも、受けとめる勇はかっこいいと思う。


「千暁、樹理は女の子なんだから」


「はっ。樹理が?」

怖い怖い怖いっ!
その顔怖いっ!!

勇もちょっと怯えてるから!


「私女の子だもん!!」


「寝言は寝てから言ってください。寝言で言っても、許しませんが」


「!!!!」


「千暁ストップー!」

俺の清々しい朝をこれ以上どす黒くしないでーーー!


「チッ…。まぁ、そっちから喧嘩を売ってきたんですから、僕は悪くありません。正当防衛です」

こいつ今舌打ちした…。
俺には聞こえた…。


「喧嘩じゃない!ちょこっと学ランの中に手入れただけじゃん!」


「樹理って痴女だったんですか?」


「(ガーン!!)」

あ、撃沈した。


きっと寒かったんだろうね。
学ランの中ならもう少し温かいかも、って思ったんだろうね。

なんだか、樹理が可哀想に見えてきたよ。


「千暁!!そんな破廉恥な言葉は使っちゃいけません!!」

破廉恥なんて古いよ、勇!
それにこの子しょっちゅう使ってますよ!


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