いきなり額に衝撃がきて、思わずハッとした。目の前には不機嫌丸だしの樹理がいる。

頬を膨らませていたので、指で突っついてみたら、簡単に空気は抜けた。



うん。この子やっぱり美人だな。
いつもナチュラルな化粧をしてるけど(勇はナチュラル派なのです)綺麗だもんなぁ。
今もスッピンだけど美人だ。


眉毛も綺麗に整えられてとあるし(しかもちゃんと存在している)、睫毛が長い。目を伏せる度に影を作る光景がとても神秘的。

陶器のように白く滑らかな肌は女の子達みんなの憧れだ。
何度この肌の秘訣はなんなのかと聞いて、と頼まれたことか。



「涼!何すんの」


「ん?樹理やっぱ綺麗だなぁって」


「…あんたに言われてもなんにも嬉しくない」


「可愛くない」


「可愛く見せるべき相手の前だと可愛いもん」


「それぶりっこ」


「そっちが素!」

やっぱり完璧な人間なんていないんだなぁ。


樹理は馬鹿だし。
勇はKYだし。
千暁は悪魔だし。

俺は根っからのプレイボーイ。






…うん。



俺達、幼なじみだもん。
こんな中にいて完璧になれる奴なんているわけがないよね。




そう結論を出し、いつの間にかスヤスヤと眠っていた樹理の額にキスをして、俺も遅い眠りについた―…。







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