「……どのぐらい、好きなの」
「幼なじみの君にも教えられないぐらい」
アーモンドのような切れ長の目がつり上がり、茶目っ気溢れる笑顔。
…この顔で、数える気も失せるほどの女性を幸せにしたんだろうなとおもうと、少し憎い。
煙草に火を付けて、肺に溜めたものが紫煙となって外の世界に出る。
彼が見てる世界を少し浸食してやった感じで、ちょっぴり優越感。
「ねえ、」
「ん、なーに?」
「わたしも、あんたみたいに一生分の幸せをあげられる相手を探すからさ」
「うん」
「キス、してよ」
「いいよ」
そう言って、記憶に刻み込むには足りないキスをした。
わたしは、まだまだ吸える煙草を消した。
「浮気者め。」
「えー、いいじゃん」
ほら。
こうやって簡単にキスしちゃうのだから、やっぱり心配。
唇を尖らせて、拗ねてみせるけど悪気も下心もないから清々しいやつ。
まあ、それでこそ。
わたしの幼なじみ。
-end-