わたしは、こいつが撮る写真が好き。
それはほんの、ふとした日常的な瞬間だったり、あまり人が関心を持たないものであれば、心奪われる奇跡のようなものもある。
ただ、わたしが彼が撮る写真が好きなのはそう言った理由じゃない。
彼は、わたしの幼なじみは、大人だ。
軽薄そうだけど、優しい。
いつも、どんなに可愛い女の子と一緒にいても……わたしであっても心はそこにない。
気まぐれに、野良猫のようにふらりとやって来る。
線を引いて人と付き合ってる。
その証拠に、複数の女性と付き合ってても、もめごとや修羅場なんてものの話は聞かなかった。
彼は、確立し独立した彼だけの世界がある。
その世界の切れ端を、彼が撮った写真を通して垣間見れる気がして、見るのが好きで仕方がなかった。
彼は、孤独なのだ。
彼はどんな女性も幸せに出来る、優しい極上の人。
女性はたちまち幸せになれる。
彼の心を、置き去りにして。