そんな想いを抱きながら1週間経った。この日はライブで、ライブに支障が出ない様に、頑張った。
そして、唄といつもの様に帰る。唄とたわいのない話をするのが好きだ。唄の楽しそうな表情を見るのも好きだ。
俺が告白すると、唄は困惑すると思う。それでも、俺はこの曖昧な関係を壊したい。
「夏休みも残り一ヶ月だな」
「そうね。今年もライブの練習三昧になると思ってたけど、この前はみんなで花火……思い出したーーー!」
突然、唄が叫びだしたので驚いた。
「ねぇ、なんで花火の帰り機嫌が悪かったの?」
唄の質問に、心臓がドクンッと大きく跳ねる。俺は歩くのを止め、黙り込んでしまった。
確かに、あの日は唄が橘さんと話しているのを見て嫉妬してしまい、帰りは無言だった。だけど、唄はそれに気付いていない。
--これはチャンスだ。今しかない。俺は、拳を握りながら唄を見つめる。
「…唄が、橘さんと2人で話してたからだ」
「え…?」
俺の問いに、唄が驚いた表情をする。
「な、なんで、橘 奏と話してただけで怒ってるの?」
唄の鈍感に頭痛を感じる。音夜の言う通り、ハッキリ言わないと分かってもらえない。
もうここまできた。後戻りは出来ない。
覚悟を決めて腹をくくり、唄を見つめる。
「唄のことが、好きだから」
唄との曖昧な関係が壊れた瞬間だった。