「亮太。高橋は?」


ある日、唄と選択科目が同じの浩平が唄を迎えに、俺らのクラスに来た。


「トイレに行ってるぞ」


「そうなんだ。後1分で始まるけど、大丈夫かな…」


浩平は、時計を見ながら心配そうに呟く。


そういえば、唄は授業が終わってすぐにトイレに行った…。


まさか…!


嫌な予感がした。もしかしたら、唄に何かあったのかもしれないと、不安が脳裏を横切る。


「誰か、唄を見かけた奴はいないかッ?!」


俺は手がかりを見つけるため、クラスに残っている奴らに聞いた。


だけど、みんなは黙り、知らない振りをして教室から出て行く。


「くそッ!浩平、手分けして「私、見たよ…」


小さな声がする方に振り向くと、同じクラスの香川だけが教室に残っていた。


「せ、先輩たちが、高橋さんを3年校舎のトイレに連れ込んだのを見たの…。

そしたら、高橋さんと仲がいい女の子も後を追いかけて…」


まさか、相原も…?!


香川は怯えながら、話してくれた。


「ありがとな、香川!浩平行くぞッ!」


「うん!教えてくれてありがとう!」


俺たちは香川に礼を言い、急いで3年校舎のトイレに向かった。


なんで、気付いてあげなかった。なんでもっと、周りに警戒をしなかったんだ……!