先輩たちは直接唄に手を出せないのを知り、間接的に唄に嫌がらせをしてきた。
根も葉も無い噂を流したり、俺たち1年の奴らに“高橋 唄と関わるな”と脅し、同学年の奴らやクラスの皆は唄を避けた。
俺は、クラスの態度に頭がきて怒ろうとしたが、唄に止められた。
「なんで止めるんだよ!」
「ここで怒っても、何も解決しない。大丈夫。
亮太たちが居てくれば、それだけでいいの」
唄は柔らかい笑みで俺に言うから、怒る気はなくなった。
唄は落ち込んだ様子もなく、笑顔で落ち着いていた。
クラスの態度が変わっているのに、いつもの様に“おはよう”と挨拶をする。
いつもの様に、“バイバイ”と言いながら笑顔で手を振る。
返事が返って来なくても、唄は言い続けた。
ライブの練習をしてても、落ち込んだ様子もなく、ライブをするたび歌声とアコギが上達していった。
先輩からの嫌がらせが酷くなっているのに、唄は何事も無かったかの様に 、無邪気に笑う。