「はぁ?!あんたそんなんで誤魔化せれると思ってるの?!」
「だから、冗談なんですって!あたしは、からかわれただけなんです!」
唄と先輩のやりとりに、終わる気配がない。このままじゃダメだ!
「行くぞ!」
「ちょっ!待ちなさい」
先輩達の隙を突いて、唄の腕を無理やり引っ張りながら走って教室に向かった。
「唄、大丈夫か?!」
「大丈夫。あんなのへっちゃらよ。それより、助けてくれてありがとう」
唄は、笑顔で俺に言った。その笑顔は、無理をしている様に見えなかったので、俺は安心をしてしまった。
本当は、“ごまかすのが上手くなった”とは気づかずに---。
あの時の自分を殴りたい。
「それにしても、ややこしいことになったな…」
唄は、困った表情で考えごとをしていた。
「お前、佐藤先輩から告白されたんだろ?なんで、冗談だって言い切れるんだ?」
「そんなの決まってるじゃない。佐藤先輩は、美人好きの有名。あたしなんかに告白するわけないじゃない。
たまたま、委員会の先生に頼まれて、2人で作業してたから、暇つぶしにからかわれたのよ」
「………」
自信満々に話す唄の言葉を聞き、頭が痛くなった。
なるほど…。そういうことか…。