【亮太Side】

俺は、久しぶりに唄の家に来ていた。

最初は、唄と2人っきりだと思い断ろうとしたが、音夜が居てくれたので遊びに来れた。

ふと時計を見ると、夕方になっていた。俺たちはずっと演奏勝負をしていたので、時間を気にしていなかった。

「もう、夕方ね。…そうだ!亮太、ご飯食べて帰らない?今日お父さん居ないし」

唄が、笑顔で俺を誘ってきた。

「ありがとう。だけど、悪いからいい」

俺は図々しいと思い、唄の誘いを断った。

「今更なに遠慮してるのよ。高校になってから、食べに来てないじゃない」

確かに、中学の時は誘いを喜んで受けていたが、高校になって唄を強く意識しだして緊張してしまうので断っていた。

「久しぶりに食べて行けよ」

音夜も誘って来たので、俺は余計に困惑した。

最近、断ってばっかりだったし、たまにはいいか…。

「じゃあ、食べて帰ろうかな」

俺がそう言うと、2人が嬉しそうに喜んでいるのを見て俺も嬉しかった。