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「満員ね」


「満員だな」


あたし達は、ステージ裏からこっそり観客席を覗いた。


「いつも、満員だから嬉しいね」


浩ちゃんが微笑みながら言ったので、あたしもつられて微笑んだ。


「うん。頑張らないと!」


佳奈は、気合いを入れながら言った。


「そうね。みんな、心の準備はいい?」


あたしは皆に声を掛けると、みんなは力強くうなずいた。


「じゃあ、行くわよ!」


あたしの合図でステージに上がった瞬間、観客席から歓声が湧きあがった。


あたし達は所定の位置に着き、あたしはマイクの高さを合わせた。


「こんにちわ!“Sounds mind”です。暑い中、来てくれてありがとう。今日は、楽しんでね!」


そう言うと、観客席はさらに盛り上がった。


「まず、1曲目は“summer story”です。聴いて下さい」


浩ちゃんに足踏みで合図を出した。


「1・2・3ーー!」


浩ちゃんのドラムカウントと同時に、あたしはアコギを弾いた。