【奏 Side】
違和感を感じて、重い瞼を開ける。辺りを見渡せば、真っ白で、目の前にはお店が一つあるだけ。
店の看板を見ると「藤和リサイクルショップ」と書かれている。
「ふー。いらっしゃい~。なにか用かの?」
タバコを吸って、いかにも胡散臭いじいさんに話しかけられ我に返った。
俺は、いつの間にか店の中に居た。だけど、自分から入っていった記憶がない。
「あ、いや、なんでもありません」
慌てて店から出ようとしたけど、じいさんに腕を掴まれ阻止をされる。
「ほぉ~。あんた、いい物を持っとるの~」
じいさんは、珍しい物を見るような目つきをする。
「なにも持ってませんが…」
じいさんの言っている意味が分からなかった。本当に何も持ってない。このじいさんの目がイカレてると思った。
「持っとるじゃないか。その“背中”に」
じいさんは、俺の背中に指をさしながら言う。