「いいぜ。その勝負ノッた」


音夜は、自信満々な表情で、提案に賛成してくれる。


「決まりね。2人共、先に防音室に入ってて。あたし、飲み物出すから」


ギターケースを壁に立てて、冷蔵庫から適当にジュースを取り出して、食器棚から取り出したコップに注ぐ。


「分かった。ギター取ってくる」


音夜は、自分の部屋にアコギを取りに行く。


「手伝おうか?」


「大丈夫よ。亮太は、遊びに来てるんだから、気を遣わなくていいわよ」


その気遣いが、亮太のいいところなのよね。昔からそうだけど、誰かが困ってたら助ける。それに、何度救われたか…。


「そうか。なんか手伝うことがあったら、言えよ」


亮太は、はにかみながら言うから、あたしもつられて笑う。


「そうだ。あたしのアコギを持って先に部屋に行っててくれる?」


「分かった」


亮太は、あたしのアコギと自分のベースを持って防音室に行く。


飲み物を入れ終わり、お盆にのせて部屋に向かう。


忘れるところだった!


あたしは、急いでお盆を机の上に置いて、お母さんの写真の前に手を合わせる。


「言うの遅くなっちゃったけど、ただいま!今日ね、亮太が久しぶりに遊びに来てくれたの。
今から、3人で演奏勝負するから見ててね」


お母さんに報告して、飲み物を持って防音室に行く。