「ただいま」


「お邪魔します」


あたしの家に着き、靴を脱いでリビングに向う。


「おかえり。おっ、亮太じゃん。久しぶり」


あたし達を出向いてくれた音夜は、久しぶりに遊びに来た亮太を見て嬉しそうな表情をする。


「久しぶりだな、音夜。元気にしてたか?」


亮太は嬉しそうな表情で、音夜に話しかけてくれる。でもその光景は、友達より、兄弟みたいに見えるから微笑ましかった。


「元気って…なんかその言い方オヤジっぽい。まぁ、元気にしてた。アホ唄のうるさいには負けるけど」


「悪かったわねっ!」


本当に口が悪いんだからっ!


音夜は、自ら友達を作らないタイプ。だから、あんまり仲良くない人には、猫をかぶって“いい弟”か“大人しい子”を演じる。だけど、亮太みたいに仲のいい人には本性全開。


でも、自分から心を開かない音夜が、亮太には心を開いてくれたから、あたしとしては嬉しいんだけどね。


「何ニヤけてるんだよ。気持ち悪いな」


「ほっといてっ!」


もうちょっと、性格が可愛くなってくれないかなっ!て、目的を忘れるところだった!


「音夜。今から3人で演奏勝負しない?」


あたしは音夜を誘う。