ジリリリリリリリリーン…ッ。
「うるさい…」
「咲奈!」
聞き覚えのある声がする。
「…楊?」
「…咲奈お前顔やばい。」
「なっ!!
てか人の部屋入ってくんな!
出てけ−!」
「起こしに来てやったのに
なんだよ!アホ咲!」
現在、中1。
あれからもう1年がたった。
早いものだ。
最初、あたしは“楊くん”と呼んでいたのだが、『家族って感じがしない』という理由で呼び捨てになった。
外は雪。
あのときもこんな風に雪が降ってたなぁ、なんて思い出したりする。
あたしは洗面所に行き、顔を洗った。
「おはよう、咲」
「おはよう咲ちゃん」
「おはよう、お母さん、薫さん」
“薫さん”は今もまだ健在だ。
「おい咲。
お前ご飯食べてる暇なんて
あんのかよ?」
時計を見る。
「…え?8時3分!?」
「ご飯食べてる暇なんてねーだろ。さっさと着替えろ」
「うん!楊、待っててよ!」
「ああ…うん」