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『咲奈!紹介するわ。

この人がママの再婚相手、

薫さん♪』


『ぇえ!?聞いてないよあたし!』

『今初めて言ったもの♪』


…なんだこの自分勝手な親は…


『初めまして、咲奈ちゃん。これからよろしく』


“薫さん”はニコッと優しそうな笑顔を向けて来た。


『それでね、咲に弟が出来るのよ。』



『はぁ??』



『咲と同い年の子よ。薫さん、
楊くんは?』


『外にいるよ。連れてこようか?』



『お願い、薫さん』



“薫さん”は家のドアを開け、
“楊くん”を迎えに行った。



『お母さん、あたしの名字は変わるの?』



一番気になるのはそこ。



今より変なのになったら困る…。



『変わるわよ。“笠辺”に』



なんかしっくり来ないな…。



そういったらお母さんは笑って、


『大丈夫よぉ!』



と、威勢良く言った。



ガチャッ



不意にドアがゆっくり開いた。


『おい楊!家族になるんだから挨拶くらいしろ!』



『わぁーったよ うっせーな…』



その男の子は、あたしと目があった瞬間、固まった。

栗色でサラサラの髪。

目の色は吸い込まれそうな黒で。

背もあたしより10センチくらい高いし、顔もかっこよかった。



この瞬間、あたしは楊を好きに
なったんだ。



『…おい!女子いるなんて聞いてねーぞ!』



『仲良くしろよ。』


この二人は口喧嘩をしてるけど、仲のいい方の喧嘩だったから笑えて来た。


そんな温かい雰囲気の中、新しい家族での生活が始まった。





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