「須田って、さ」

「うん?」

 話ながら、一応箒も動かす。塵が空気に舞って光りながら空いてる窓辺へ流されていく。

「彼氏いるの?」

 は!? 
唐突な質問に心臓が激し脈を打つ。

「い、いないよ」

 この16年間、彼氏どころかまともな男子の友達もいないし、手も繋いだことないのだ!
そんな私にそんなこと聞くなんて!

 いや、お兄ちゃんとなら、小さい頃なら繋いだことあるけど……。あれはカウントしないよね?
とかどうでもいいことを考えてしまうほど動揺していた。

「な、何で?」
 
「いや、夏休みにさ、見たんだよ。須田が駅前で男と歩いてるの」

オトコ?
おとこ……私の周りの男と聞いて思い浮かぶのは一人しかいない。