そんな遅刻すれすれ、二学期初日の昼休み。色んなグループのおしゃべり好きな女子が自然に集まって、みんな楽しみにしてた高一初めての夏休み。どんな夏だった?
 そんな話題で盛り上がって、あたしの番。

 みんなは海とか、プールとか、彼氏が出来たり。そんな中、あたしの夏休みはさえなかった……。

 一学期の散々なテストの結果を家族みんなに心配されてお兄ちゃん監修の元、鬼勉強させられたという。青春真っ只中ありまじき過ごし方だったのだ。

「チィちゃんのお兄ちゃんはすっごく頭いいんだよね」

 入学してすぐから仲良くなったコナちゃんこと坂下 小夏(サカシタ コナツ)が明るく補足してくれる。

「○×大学編入、トップの成績で飛び入学だもんね」

「すっご、あの大学を!? なんかすごーい!」

 何人かの黄色い声。お兄ちゃんの話をすると必ず上がるこの声にもう慣れっこになってしまった。
 うん、確かにすごいんですよ。

「でも、せっかくの夏休みをお兄ちゃんと勉強って辛いね〜」

 そう、普通ありえないよね。と思う。夏休み初めの誕生日以外、ほぼ毎日の宿題+予習、復習。まだ塾の方が優しいだろう。

「でも、それに普通そんなに付き合ってくれないでしょ? 色んな意味でスゴいよねチィ兄」

「……まあね」

 チィ兄とかへんなあだ名で影で呼んでるのは……高瀬由真(タカセユマ)中学からの仲良し。