「千衣子(チエコ)、今日から二学期でしょ? 初日から遅刻するわよ。……あら?」

 トーストをお皿に乗せて、私の方へ振り向く途中。動きが止まるお母さん。

「今日は……新しい髪型だね」

 その気の毒そうな顔で言うの止めて。

「行ってくるよ〜」 

 そんな中、お父さんののんびりとした声が玄関から聞こえた。

「えぇ!? もう、そんな時間!?」

 慌てたあたしの悲鳴も須田家の日常のひとコマ。いつものごとく目の前のトーストをがっついて家を飛び出した。