下に降りても、まだあたしたちは手を繋いでいた。汗ばんだ手のひらから伝わる緊張感。

 見上げた横顔は真剣そのもの。こくんとその喉が動くのを見た。

「毅叔父さん、八重子さん」

 リビングの入り口に並んで立つあたしたちに、ソファーで寛ぐ二人の視線が集まる。

 なにが起こるかわからないまま。あたしも生唾を飲み込んだ。

「今まで、家族同然に育ててくれたこと。感謝してます。アフリカ行きもアメリカ行きも勝手に決めたのにいつも温かく応援してくれた。家族がいるから、俺は頑張れてるんだ。毅叔父さんと八重子さん。それから、千衣子」

 お兄ちゃんの握る手に力がこもる。