「これから話すことは、君にとってとても辛いことだが聞いてくれ」
坪倉さんの顔からさっきの笑顔が消えた。
まだ何も聞いていないのに耳を塞ぎたくなる。
「君は、病気に勝った…」
「しかし、5年後…再発の可能性がある」
坪倉さんの言葉は
あたしにまた"死"を実感させる。
「それに、再発したら治る確率は今回より…低い」
その言葉と同時に
お母さんは顔に手を当てて泣いた。
お父さんはそんなお母さんの体を支えるように抱き締める。
あたしは泣きたくなかった。
泣いたら認めてしまうような気がした。
歯を食いしばって
涙をこらえる。
でも、一滴、また一滴と、
涙は頬を通り顎にたまって落ちていった。