「ねぇ…君、日系大の人だよね?」
ん?…え?
「あぁ…はい、そうですけど」
誰だ、この人。
俺のファン? ストーカー?
いや、まさかな。
その客は、
でかいサングラスに、
茶髪のショートカット。
身長は小さめで、
かなり細いっ!
コンパクトな女性だった。
飯食ってんのか?
なんて、じろじろ
上から下まで舐め回していると、
「何?」
と、言われ、
「い、いえ…」
と、彼女からタバコへと視線を移す。
「タバコって、結構高いのね…初めて買うから知らなかった」
そう言って、350円を出した。
「350円お預かりしたので、30円のお釣りと、レシートです」
彼女にレシートと30円を
渡そうと、手を伸ばした。
その時、俺が一瞬彼女を見るのと同時に彼女はサングラスを外した。
「か、かわいい…」
横から小さく直輝が呟く。
俺が言葉にする前に
先に言われてしまった。
サングラスを外した彼女は、まん丸な大きな目に長いまつ毛。
かわいらしい子猫の様だった。
彼女はレシートと30円を受けとると、
「またね」
と、言って小さく手をふる。
『またね』?
その言葉に疑問を持ちながらも、
「ありがとうございました」
と、彼女に向かって叫んでみた。