直輝の言う"過去"と言うのは2年前、俺が付き合っていた彼女とのことだ。



--------高2の夏。


当時俺には大切な彼女がいた。


崎山 真冬(サキヤマ マフユ)

隣のクラスだった真冬とは、付き合ってもうすぐ1年が経とうとしていた。



毎日が楽しかった。


きっと人生で一番の
青春だろうと思っていた。

しかし、ある時見たくない物を見てしまったのだ。


「真冬…なんだよ、それ」


真冬の左手首には
くっきりとリストカットの痕があった。


その傷は深くて…痛々しい。


"死にたい"
傷は俺にそう言っている気がした。


俺は真冬といて
"幸せ"と感じていた。


けど、真冬は違ったのか?