横を見ると、美鈴がいる。


「657円です」


美鈴の声。


「ありがとうございました」

バイト中でも
聴けると思わなかった。


「星夜くん! あたし品出し手伝って来るね」


美鈴の笑顔。


「おお…頼むわ」

「うんっ」


こんなに近くで
俺に向けられている。



今頃何言ってんだって感じだろうけど、

この前、


『お前、美鈴ちゃんのこと好きだろ』

って一貴に言われてから
変に意識してる自分がいる。


俺が美鈴を好き…?

否定出来なかった。

でも、まだそーいうんじゃない気がする。


少し、ほんの少し、
美鈴を女として
見てしまうだけだ。