それは確かに、
美鈴の声だったんだ。
俺は勢い良く振り返る。
そこにはもう乃々の姿はなく、代わりに美鈴が立っていた。
確かに美鈴はそこに居た。
「……美鈴」
俺が美鈴のほうに一歩踏み出す。
すると、美鈴はあの頃と同じ笑顔で
『ガンバレ!』
そう言って消えてしまった。
いや、消えていた。
俺は美鈴から目を離していないはず…なのに、
もうそこには美鈴は居なくていつ消えたのかすら見えなかった。
でも、美鈴は確かにそこに居た。
「頑張るよ…だから、これからも、側に居てくれ」
そう言って学校の正門をくぐる。