すると、乃々は学校の壁にそっと寄っ掛かり言った。



「皆それなはりに大人になって、それなりに恋もして、それなりに幸せにやってるってことよね?」


「まぁ…そうだな」



そう言いながら、俺も乃々の隣に寄っ掛かる。



「あ、でも星夜くんだけ恋してないね?」



思い付いたように乃々が言った。

少し演技臭いのは黙っておこう。




「……恋ならしてるよ」



俺が小さく笑いながらそう言うと乃々は予想外の言葉に驚いた様子だった。




「えっ!好きな人いるの?」

「あぁ…」



「誰々?!どんな人?」



目をキラキラさせながら
乃々が聞いてくるから
俺はつい、笑ってしまった。










「俺は…」







「相変わらず美鈴にベタ惚れだ」